建設現場で欠かせない足場工事ですが、その設置にあたって提出が義務づけられている「足場設置届」。
誰がこの書類を提出するのか、現場で明確にしておかないと、思わぬトラブルや法令違反につながることがあります。
この記事では、足場設置届の提出者は誰なのか、またその理由や役割分担、提出しなかった場合のリスクについて、わかりやすく解説します。
足場設置届は誰が出すのかを現場で明確にする理由とは?
足場設置届の提出者をあらかじめ明確にしておくことは、現場の安全管理や法令遵守のためにとても重要です。
現場に関わるすべての人が、自分の役割を理解することが、安全でスムーズな工事進行につながります。
責任の所在をはっきりさせるため
足場設置届を誰が出すかを決めておくと、工事中に問題が発生したとき、どの立場の人がどこまで責任を負うべきかが明確になります。
提出者が決まっていないと、トラブルが起きた際に責任の押し付け合いになりかねません。
また、工事が安全に進んでいるか、法令に従っているかのチェックもスムーズに行えます。
このように、責任の明確化は現場運営の基本なのです。
作業の安全管理を徹底するため
足場は高所作業を支える重要な設備です。だからこそ、設置作業には多くのリスクが伴います。
足場設置届をきちんと提出することで、危険な作業に対する安全対策をあらかじめ整備することができます。
安全対策が不十分なまま工事を進めると、墜落や転落など重大事故の原因になります。
安全管理を徹底する第一歩として、誰が届を出すのかをはっきり決めておく必要があります。
行政指導や監査への対応のため
足場設置届は、労働基準監督署による監査の際に提出を求められることがあります。
そのとき、誰がどの書類を提出しているかがはっきりしていないと、現場が混乱し、行政指導の対象となる可能性があります。
書類管理を含めた体制づくりは、行政からの信頼にもつながります。
そのためにも、提出者を明確にしておくことは非常に重要です。
足場設置届は誰が出す?提出が必要なケース
すべての現場で足場設置届が必要なわけではありません。法令で義務づけられているケースを知ることが大切です。
特定の条件を満たした場合に、提出が必須となります。
足場の高さが10m以上の場合
足場設置届は、足場の高さが10メートルを超える場合に提出が義務付けられています。高所作業は転落や落下物による重大な事故につながるリスクが高いため、国は事前に作業計画を確認することで安全性を確保しようとしています。特にビルやマンションの修繕工事など、大規模な足場を設置するケースでは、安全対策の徹底が求められます。そのため、労働基準監督署への提出が必要になります。
組み立てから解体までが60日を超える場合
足場の組み立てから解体までの期間が60日を超える場合も、足場設置届の提出が必要です。長期間にわたる足場の設置は、風雨や地震など外的要因による劣化や崩壊の危険性が高まるため、行政側もその工程を事前に把握する必要があります。また、長期工事では作業員の入れ替わりも多くなることから、安全管理体制の継続性も問われるため、届け出によってそれらの情報が確認されます。
工事開始の30日前までに所轄の労働基準監督署に届け出る
足場設置届は、工事開始の30日前までに所轄の労働基準監督署に提出しなければなりません。これは監督署が事前に計画内容を精査し、安全対策に不備がないか確認するためです。提出が遅れると、指導や工事の延期といった対応を求められる場合もあるため、早めの準備が重要です。また、提出にあたっては作業工程や安全管理の体制など、詳細な情報を添えて届け出る必要があります。
足場設置届は誰が出すのか?元請業者と下請業者の役割分担
工事現場では多くの場合、元請業者と下請業者が関与します。それぞれの役割分担が重要です。
基本的に足場設置届を提出するのは元請業者ですが、下請業者の協力も不可欠です。
基本的には元請業者が提出する
法律上、足場設置届を提出する責任は原則として元請業者にあります。
元請は現場全体の管理責任を担っており、行政への報告義務を果たす立場にあるからです。
提出を怠ると、元請業者が直接処罰の対象となる場合があります。
そのため、書類作成から提出までをしっかり管理する必要があります。
下請業者は元請に必要情報を提供する
下請業者は、作業の詳細や人員配置、工程などの情報を元請業者に提供します。
この情報が正しくなければ、届出の内容にも誤りが生じ、後のトラブルにつながります。
現場の情報を正確に共有することが、安全な足場設置の第一歩です。
下請業者も「提出は他人事」とせず、積極的に協力すべきです。
現場の統括管理は元請が担う
元請業者は現場の全体管理責任を負う立場にあり、安全管理計画や書類提出の中心的役割を果たします。
足場設置届もその一環として、元請が中心となって進めることが求められています。
元請業者の管理体制がしっかりしていないと、現場全体の安全性が低下します。
そのため、提出責任は原則として元請にあるのです。
足場設置届は誰が出す?作業責任者や職長との関係性を解説
足場設置届は元請業者が提出するのが原則ですが、実際に現場を指揮する職長や作業責任者との連携もとても重要です。
現場の実務と書類の内容が一致していることが、安全な施工には不可欠です。
職長や作業責任者は実際の工事の指揮を行う立場
職長や作業責任者は、現場で作業員に指示を出し、工事が計画通り進んでいるかを監督する人です。
そのため、現場の状況を最もよく把握しており、危険箇所なども熟知しています。
書類の内容が現場の実態と合っていないと、重大な事故につながる可能性もあります。
だからこそ、書類提出の前に職長との連携は必須なのです。
提出は元請だが、現場責任者が内容を確認する
提出自体は元請業者の責任ですが、書類を作成する際には職長や作業責任者がチェックに関わるべきです。
間違った内容で提出してしまうと、後の修正や再提出が必要になる可能性もあります。
事前に現場責任者が確認することで、ミスや情報の食い違いを防げます。
正確な情報のやりとりが、現場の安全を支えます。
安全衛生責任者としての連携が求められる
現場には安全衛生責任者が配置されることが多く、足場設置届の提出内容とも関係があります。
この人は作業員の安全確保や労災防止のための管理を担います。
職長や元請との情報共有ができていないと、管理体制に穴ができてしまいます。
安全衛生責任者も含めたチームで届出内容を確認することが、理想的な体制です。
足場設置届は誰が出す?提出しなかった場合のリスクとは
足場設置届の提出を怠ると、法令違反になるだけでなく、現場での信頼も失います。
そのリスクは企業にとって非常に大きく、経営上のダメージにもつながります。
労働安全衛生法違反として罰則の対象になる
足場設置届は、労働安全衛生法に基づいた書類です。提出しないと法的な罰則が科される可能性があります。
監督署による調査で不備が発覚した場合、是正命令や罰金が発生するケースもあります。
企業イメージの悪化や行政からの信頼失墜も避けられません。
法令遵守の姿勢を示すことが、長期的な信頼構築に不可欠です。
労災が発生した際に企業責任が重くなる
もし足場工事中に労災事故が発生した場合、設置届が提出されていないと、企業側の過失が重く見られます。
書類が提出されていれば、「必要な対策を講じていた」と主張できます。
届け出がない場合、過失責任の度合いが大きくなり、損害賠償も高額になる可能性があります。
企業にとって、提出は「保険」のような役割も果たします。
監督署から是正勧告を受けることがある
提出義務があるのに足場設置届を出していないと、労働基準監督署から是正勧告を受ける可能性があります。
是正勧告とは、「このままでは違法だから直しなさい」という行政からの命令です。
何度も勧告を受けると、行政からの信頼が大きく損なわれ、元請としての仕事にも影響が出ます。
書類提出を怠ることで、企業としての信用が大きく揺らぐのです。
足場設置届は誰が出す?現場でよくあるトラブルと対処法
足場設置届の提出にまつわる現場トラブルは少なくありません。よくある問題とその対策を紹介します。
事前の準備と明確なルールがトラブル回避のカギです。
提出者が決まっておらず責任の押し付け合いになる
よくあるのが、「誰が出すのか」を現場で決めておらず、工事直前になって責任の押し付け合いが起こるケースです。
これでは工期に遅れが出るだけでなく、信頼関係の崩壊にもつながります。
契約段階や事前打合せで、提出者とフローを明確に定めておくべきです。
誰が、いつ、どのように提出するかを共有しておきましょう。
書類の不備で再提出になるケースが多い
提出書類に誤字脱字や記載漏れがあると、再提出が必要になります。
これにより工期が遅れたり、行政からの印象が悪くなることも。
ダブルチェック体制や提出前の確認プロセスを設けることが大切です。
手間が増えるように感じるかもしれませんが、結果として効率的です。
情報共有不足による手続きの遅れが発生する
現場と事務方、元請と下請の間での情報共有が不十分だと、提出手続きが遅れることがあります。
情報伝達のミスで、届出が遅れた結果、工事開始が遅れる事態にもなりかねません。
クラウド共有や定期ミーティングなど、連絡手段をあらかじめ整えておくと安心です。
チーム全体での協力体制を構築することがポイントです。
足場設置届は誰が出す?実際の現場での提出フローを紹介
ここでは、実際の現場で足場設置届をどのように提出しているのか、具体的なフローを紹介します。
流れを把握することで、作業の遅延やトラブルを未然に防ぐことができます。
現場担当者が書類を作成し元請が確認
まず、現場担当者(多くは現場監督や施工管理者)が届出に必要な情報をもとに書類を作成します。
作業工程、安全対策、作業責任者の情報などが必要です。
その後、元請業者が内容を確認し、必要に応じて修正指示を出します。
この段階で職長や安全衛生責任者とも確認を取り合うと安心です。
元請業者が労働基準監督署に提出
確認が完了したら、元請業者が書類を管轄の労働基準監督署に提出します。
提出期限は作業開始前日までが原則です。
郵送やオンライン提出が可能な地域もあるため、地域のルールを確認しましょう。
証明書や受理票は、現場にも保管しておくと後々役立ちます。
作業前に提出し、工事開始までに許可を得る
足場設置工事を開始する前に、必ず設置届が受理されている必要があります。
未提出のまま作業を始めると、工事停止命令が出ることもあります。
書類提出と並行して、作業員への安全教育も行いましょう。
届出は「形だけ」でなく、安全確保の手段の一つです。
まとめ:足場設置届は誰が出す?提出義務と担当者の役割を再確認
足場設置届は、現場の安全と法令遵守の要です。誰が出すのかをはっきりさせ、適切な手続きをとることが事故防止と企業の信頼に直結します。
工事を安全に、円滑に進めるために、現場全体での協力体制が重要です。
足場設置届は元請業者が責任を持って提出する
足場設置届は法律に基づいて、原則として元請業者が責任を持って提出します。
その際、下請業者や現場責任者との情報共有が欠かせません。
チーム全体での連携が、安全な工事の鍵となります。
提出を怠ると法令違反になるため、確実に実施しましょう。
現場の安全確保には全関係者の連携が重要
提出者だけでなく、作業主任者や職長、安全衛生責任者など現場全体での連携が不可欠です。
全員が同じ方向を向くことで、安全で信頼性の高い工事が可能になります。
書類一つで現場の意識が大きく変わることを意識しましょう。
情報共有と確認の習慣が、安全文化を育てます。
適切な手続きが事故防止と企業信頼につながる
足場設置届は、ただの書類ではありません。安全と信頼の証しです。
提出を通じて、現場での安全意識が高まり、事故の予防にもつながります。
正しい手続きが、企業の信頼を守る最善の策です。
今日からできる改善を、あなたの現場でも取り入れてみましょう。
ビル・マンションの足場工事なら、吉田建設にお任せください
今回の記事では、足場設置届は誰が出すか、またその他情報を皆様にご紹介をしました。記事を読んで、マンション、ビルなどの修繕を検討している企業様もいらっしゃるかと思います。
足場工事なら、私たち株式会社吉田建設にお任せください。
私たち吉田建設は創業当時より「公明正大」を社是にしており、お客様だけでなく、自分自身も「公明正大」で居続けています。形だけの安全ではなく、心から感じられる安全を提供します。また、高層ビル、高層マンション、植物園での仮設足場の施工など、様々なパターンでの施工実績があり、その数は豊富です。
さらに、吉田建設では足場工事の申請業務を元請けの代わりに代行して行い、道路使用の申請、電線の防護管設置依頼も代行することで、多くのお客様からご好評をいただいております。
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