建設現場や高所作業には欠かせない「吊り足場」。しかし、その正しい使い方や安全性については意外と知られていません。
本記事では、吊り足場の基本からメリット、効果的な使用方法までを分かりやすく紹介します。吊り足場を使うことで、作業効率の向上や安全性の確保が期待できます。
この記事を読むことで、吊り足場の知識を深め、より安全で効率的な作業環境を実現するための一歩を踏み出しましょう。
吊り足場とは?
吊り足場について解説していきます。
作業床を吊り下げる足場
吊り足場は、作業床を上方から吊り下げて設置するタイプの足場です。
この方式は、ビル建築や高層ビルのメンテナンス、橋梁工事、プラント施設など、地上に足場を設けることが困難な高所作業に適しています。吊り足場は空中で水平に組み立てられるため、他の足場と異なり、落下事故のリスクが高く安全性に注意が必要です。設置作業は高度な技術を要し、細心の注意を払う必要があります。
吊り足場の種類
吊り足場には下記の2種類があります。
吊り棚足場
吊り棚足場は、工事中の鉄骨梁から吊り材を用いて設置される足場の一種です。
足場用鋼管や角型鋼管、丸太を井桁状に組み合わせ、作業床に足場板を設置します。安全対策として、下面に安全ネットが設けられます。この足場は、ビル建築の鉄骨組み立て、ボルトの締め付け、溶接作業や橋桁の塗装、点検、補修工事に頻繁に使用される設計です。
吊り枠足場
吊り枠足場は、鉄骨梁などに直接既製の足場を懸垂して設置する方式です。
このタイプは主に鉄骨工事の溶接や鉄筋の組み立て作業に用いられます。足場は地上で先に組み立てられ、後に楊重を使って所定の位置に設置されます。吊り足場は特に、高所作業が必要で周囲に足場設置スペースが限られている場合に利用される、実用性の高い足場システムです。
吊り足場はどんなところに使われるのか
吊り足場は、一般的な足場が設置できないような特殊な環境下でその真価を発揮します。
例えば、地面が不安定であったり、建物の構造上、通常の足場を組むことが困難な場合に適しています。このタイプの足場は、高速道路のメンテナンス作業や鉄骨の組み立てに頻繁に用いられます。さらに、橋やダムなどの土木工事、プラント設備やビルの組み立て現場、高層ビルの吹き抜け工事や窓の清掃作業など、多岐にわたる分野で活躍します。
また、橋梁工事では、橋の下端部分での作業や、建物の突出したバルコニー下での作業、傾斜地や崖地での建設作業、都市部の狭い地盤面での高層ビル建設など、特殊な条件下での足場設置にも重宝されています。
吊り足場は、そうした特殊な環境で安全かつ効率的な作業を可能にするための重要な工具となっています。
吊り足場のメリット
吊り足場のメリットについて解説していきます。
作業空間が広い
吊り足場の大きなメリットの一つは、作業空間が広いことです。
この足場は横方向に展開されることが多く、その結果、通常の足場に見られるパイプや支柱が移動経路にないため、より広い作業スペースを確保できます。これにより、作業員は動きやすく、作業効率が向上します。広い空間は、作業機材の配置や作業員の動線の最適化にも寄与し、よりスムーズで安全な作業環境を実現します。
工期が短い
吊り足場は横方向に展開し、移動床を設置することで、工期の短縮に大きく貢献します。
このシステムにより、必要な作業範囲全体を効率的にカバーすることができ、作業員が足場の移動や再設置に費やす時間が大幅に削減されます。工期の短縮は、コスト削減やプロジェクトの早期完了に直結し、クライアントにとっても大きなメリットとなります。
地上の交通を妨げづらい
吊り足場は、地上のスペース利用を最小限に抑えるため、道路や歩道の通行を妨げることが少ないのが特徴です。
通常の足場がしばしば地上のスペースを占有するのに対し、吊り足場は必要な作業範囲内に収めることが可能です。これにより、周辺の交通の流れを維持し、歩行者や車両の安全を確保することができます。特に都市部や交通量の多いエリアでは、この特性が大きな利点となります。
作業時の安全性が高い
吊り足場は、一度組み立てられると、作業員が手すりに囲まれた安全な空間内で作業を行うことができます。これにより、作業中の転落リスクが著しく低減されます。
安全な作業環境は、作業員の安心感を高めると同時に、作業効率の向上にも寄与します。また、安全性が高いことは、作業員の健康や生命を守るだけでなく、事故によるプロジェクトの遅延や追加コストのリスクを減らすことにも繋がります。
吊り足場の架設の流れ
吊り足場の架設の流れについて解説していきます。
準備・点検
吊り足場の設置作業を始める前に、保護具、使用する工具、資材の徹底した点検が必要です。
これには、工具や資材の破損の有無を確認し、不良品が見つかった場合はただちに交換することが含まれます。特に、安全帯や手摺りなど、安全に直結するアイテムに関しては、細部にわたる点検を行い、万が一の異常が発見された場合は、速やかに正常なものへの交換が不可欠です。
この段階での厳密な検査は、後の作業の安全を保証する基盤となります。
組立
親網の取り付け
転落を防ぐため、最初のステップとしてスタンションの設置が行われます。
これらのスタンションは約10メートルの間隔で取り付けられることが一般的です。設置する際には、最初は安全な支点が限られるため、近くのチェーンなどに命綱を確実につけて作業を行うことが重要です。
親御パイプの取り付け
次に、吊りチェーンを掛け、親御パイプの取り付けを行います。
吊りチェーンの間隔は通常約120センチメートルです。親御パイプの設置が完了した後、ジョイント部分には最低2個以上のクランプを使用して補強を施します。これにより、構造の強度と安定性が確保され、足場全体の安全が向上します。
ころばしパイプの取り付け
続いて、足場を形成するためのころばしパイプを取り付けます。
これらのパイプの間隔はおよそ90センチメートルで、施工環境に応じて間隔が調整されることがあります。ころばしパイプは滑りやすく危険なため、取り付けた後はすぐに親御パイプと緊結することが肝要です。これにより、作業員が足場上で安全に動けるようになります。
足場板を敷き詰める
最後に足場板の敷設を行います。
足場板は、段差が生じないよう、きっちりと突き合わせて敷き詰めます。重ね合わせて設置することは避け、安全に注意を払いながら作業を進めます。足場板の設置時には、不均衡な重み配分による天秤状態となり、事故のリスクが高まるため、作業中の安全対策には特に注意が必要です。
朝顔パイプの取り付け
吊り足場の組み立て初期段階で、工具などの落下を防ぐために朝顔パイプを取り付けることが重要です。
これは、足場上の安全を確保するための措置であり、同時に手すりとしての役割も果たします。安全性を高めるためには、場合によっては中桟(なかさん)の取り付けも必要となります。この段階での丁寧な作業は、後の工程における作業員の安全を大きく左右します。
落下防止網の取り付け
足場板と建築物の間に生じる隙間を埋めるために、落下防止網の取り付けが行われます。
この網の取り付けには、継ぎ手の部分が過度に引っ張られて開かないよう注意が必要です。また、落下防止網はある程度の衝撃に耐えられる材質のものを選ぶことが望ましいです。この工程は、作業員だけでなく、地上の人々の安全も確保するために不可欠です。
施工
吊り足場の組み立てが完了したら、現場での作業が行われます。
施工中は、常に安全基準を遵守し、必要な調整や補強を行いながら進めることが肝要です。この段階では、効率性と安全性のバランスを保ちながら作業を進めることが求められます。
解体
施工が完了した後、安全対策を施しながら足場の解体作業に取り掛かります。
解体作業中は第三者の立ち入りを防ぎ、作業員が親綱などの安全装置を使用して安全に作業できる状況を整えることが大切です。解体は、落下防止網、朝顔、足場板、ころばしパイプ、親御パイプ、吊りチェーンの順に行い、必要に応じてクレーンなどを利用して資材の荷下ろしを行います。
後片付け
使用した工具や資材の整理と点検を行います。
釘や結束線などの小さな材料が残っていないかも確認し、整理が終わったら工具の状態や数を再確認します。最終的には、解体で使用した範囲とその周辺を清掃して、作業場を整えることで後片付けを完了します。この段階での丁寧な作業は、次のプロジェクトへの準備と安全の確保につながります。
まとめ
この記事を通して、吊り足場の概要やそのメリット、使用方法について詳しく解説してきました。吊り足場は、特に高層建築や特殊な環境での作業において、その効率性と安全性が大いに役立つことがわかります。
そして、これらの仮設足場施工に関して、東京都八王子市を拠点とする吉田建設が確かな選択肢となります。
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