仮設足場工事と命の話

八王子市の仮設足場施工会社吉田建設 代表の吉田です。

 

突然ですが、
弊社では過去にスタッフの死亡事故を起こしています。
9年経った今でも、1日たりとも忘れることはできません。

 

事故当時は、私も放心状態でした。
会社を畳もうとも思いましたが、
私が辞めたところで仮設足場はこれからも建てられ続けます。
仮設足場は誰かが建てなくてはいけない訳だから、
こういう事故を引き起こしてしまった僕たちが、何より安全第一で仕事を続けることが
少しでも事故への償いになるのではないか。
そう考えて続けてきました。

 

命の尊さ。

 

私たちのような鳶の仕事は、毎日高いところを文字通り飛び回って作業します。
安全に対する意識は持ちつつも、慣れがどうしても出てきてしまいます。
でも、忘れてはいけないのは、
ちょっとした気の緩みや不注意で命を落としてしまう仕事であるということです。

 

実は、2年ほど前遺族の方が、
「毎年命日に会いに来てくれるのはありがたいけど、あなた達が帰った後に胸が引き裂かれる思いになってしまうから今年で最後にしてほしい。」
ということを仰られました。

 

それからお墓まいりにはいっていますが、ご遺族の方とはお会いしていません。

 

それほどまでにご遺族の方に喪失感を与えてしまったというこの事実を私は理解しているようで本当には理解できていないのかもしれません。

 

だからこそ、仮設足場会社を続ける中で、
安全に仕事を行うということに全力を注いできました。
私たちが、値引きして仕事を受けないのにも実はここからきています。
低単価で仕事を受けてしまって、社員が急いで仕事を回さなくてはいけなくなると事故の危険性が増えてしまいます。

 

なぜ、今回この文章を書いたかというと、
工事に関係するすべての方に、改めて人の命の尊さと、自分たちの仕事の危険性について知っておいて欲しかったからです。

 

死亡事故を起こしてしまったという事実は変えられません。
だからこそ、その事実を隠すのではなく、しっかりとその事実と向き合い続けて、社員はもちろん関わる方にお伝えしていけたらと思っています。

 

弊社では「潤い」と言う言葉を会社のテーマにしています。
これは、金銭的な充実だけではなく、仕事をできる幸せ、プライベートの幸せ、そして家族の幸せを「潤い」と表現して、これらを実現できる会社であることです。

 

会社の発展のために社員がいるのではなく、社員の潤いの先に会社が続いていけばそれでいいと私は思います。
決して綺麗な言葉で締めるつもりはありませんが、

 

このことを胸に、吉田建設は今日も安全に仕事を行います。

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